2016年9月16日金曜日

TensorFlowのライブラリをC++から使って画像認識してみた

TensorFlowのライブラリをC++から使うにはどうしたらよいのか。


https://www.tensorflow.org/versions/r0.7/tutorials/image_recognition/index.html

上記のドキュメントにはC++のサンプルのビルド方法は書かれているのですが、bazelを使わない自分で作ったアプリのビルド方法はまったくGoogleno公式ドキュメントに書かれていません。

bazelを使わないで、自分のビルドシステムでmakeしたいときはどうすればいいんだろ。
なので調べてみました。



1. Tensorflowをソースからビルドする


まず、tensorflowのsoを作りたいのですが、soを作るにはTesnsorflowをソースからビルドする環境が必要です。以下のサイトをもとに頑張ってTensorflowをソースからビルドします。
https://www.tensorflow.org/versions/r0.10/get_started/os_setup.html#installing-from-sources


2. Tensorflowのsoを作る。

libtensorflow*.soをビルドしたいのですが、ビルド方法が公式ドキュメントには載ってないですよね。bazelのビルドファイルであるtensorflow/BUILDを読むと、なんとなくsoのビルド方法がわかります。

bazel build -c opt //tensorflow:libtensorflow.so
bazel build -c opt //tensorflow:libtensorflow_c.so
bazel build -c opt //tensorflow:libtensorflow_cc.so

上記のように入力するとsoが出来上がります。
bazel/binのフォルダに出来上がるようです。


3. includeファイルを集めてとってくる

これがめんどくさいのですが、以下の四つのフォルダーのヘッダーファイルを
取ってくるかビルド時にパスで指定します。
bazel-tensorflowはシンボリックリンクとかがあるので取ってくるのがめんどくさいです。

bazel-tensorflow
bazel-genfiles
~/.cache/bazel/_bazelユーザー名 /長い文字列/external/eigen_archives
~/.cache/bazel/_bazelユーザー名 /長い文字列/external/protobuf

僕はこれらのファイルをincludeディレクトリを作り、全部入れました。



4. ビルドする

試しに、Tensorflowに入っている画像認識のサンプルをビルドします。
3で作ったファイルをWindowsに持ってきて、前回の記事のbashでビルドしてみたいと思います。
tensorflow/examples/label_image/main.ccをビルドするには以下のように入力

$ g++ main.cc -std=c++11 -Iinclude/eigen_archive -I include/protobuf/src -Iinclude -L. -ltensorflow_cc -Wl,-rpath=.


びるどできたー



5. 学習データを取ってくる

いつものように以下のサイトから学習アルゴリズムと学習結果を取ってきます。

https://storage.googleapis.com/download.tensorflow.org/models/inception_dec_2015.zip



6. 実行させる

$ ./a.out

military uniform (866): 0.647298
suit (794): 0.0477196
academic gown (896): 0.0232406
bow tie (817): 0.0157355
bolo tie (940): 0.0145024


おー、結果が出た。


この写真は軍の制服らしい。
確かにスーツにも見えるね。




これでsoとヘッダーファイルさえとってこれれば、どんなビルドシステムでもコンパイルすることができます。

Windowsのbash on ubuntu on Windsowsはjavaがまだ安定して動かないため、bazelも動かないのですが、ubuntuでビルドしたsoとヘッダーファイルを取ってくれば、Windows上でTensorflowのC++開発も行うこともできます。

Pythonでディープラーニングをすることが流行っていますが、スマホや組み込みではフルスペックのPythonは動きません。
しかし、Tensorflowは演算部分がC++で書かれているので、Tensorflowでグラフを作れば、スマホや組み込みですぐにその学習結果を利用することができるます。
ディープラーニングを使ったアプリを簡単に商品化できるだけでなく、大変時間のかかる学習もGPUを使ったサーバで簡単に分散処理できます。
Tensorflowって深層学習のアプリを実際に商品化する時に発生するたくさんの問題をすべて解決してくれます。
本当によく考えられています。すごいです。




2016年9月8日木曜日

コンピュータにゲームをさせてみた

「コンピュータにゲームをさせてみる」のいよいよクライマックスです。
今日はコンピュータにゲームを学習させたり、その結果でコンピュータにゲームを
させます。

コンピュータにゲームをさせるにはたくさんのライブラリをいれないといけないので、設定がめんどくさくてなかなかハードルが高いです。なので順を追って説明していきます。

ソースコードは学習することも含めて367行しかないのに。

1. OpenAI GYMをインストール

まずOpenAI GYMをWindowsで動くようにします。
Windows用って書いてますが、実はLinuxでもやることは全部同じです。
なので同じやり方でLinuxでもコンピュータにゲームをさせることができます。

以下のサイトを参考にどんどんいろんなソフトを入れていきます。

Windows 10のLinux/Ubuntu互換環境でbashを使う
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1608/08/news039.html

Windows上でOpenAI/gymを実行してみる
http://qiita.com/onelittlenightmusic/items/11eefde5ddad57fd0727



2. いろいろインストール

上記で一応OpanAI GYMだけは動くようになったのですが、Atariのゲームや、機械学習のライブラリのTensorflowとKerasがまだ入っていません。なのでインストールします。


apt-get install python-dev
apt-get install python-opengl
apt-get install python-skimage
apt-get install cmake
apt-get install zlib1g-dev
apt-get install tensorflow
apt-get install git

pip install gym
pip install gym[atari]
pip install keras
export TF_BINARY_URL=https://storage.googleapis.com/tensorflow/linux/cpu/tensorflow-0.10.0-cp27-none-linux_x86_64.whl
pip install $TF_BINARY_URL



こんな感じでどんどんインストールします。



3. Kerasのバックエンドを設定

次にKerasはデフォルトではtheanoを使うように設定されているのでtensorflowを使うように設定を変更します。

KerasをTensorFlowバックエンドで試してみた
http://tjo.hatenablog.com/entry/2016/06/09/190000

上記のサイトを参考に
~/.keras/keras.json
を変更します。

変更前
{"epsilon": 1e-07, "floatx": "float32", "backend": "theano"}

変更後
{"epsilon": 1e-07, "floatx": "float32", "backend": "tensorflow"}



4. Atariのゲームをするプログラムと学習結果をとってくる

ゲームをするプログラムと学習データを取ってきます。

DQNをKerasとTensorFlowとOpenAI Gymで実装する
https://elix-tech.github.io/ja/2016/06/29/dqn-ja.html

上記のサイトにコードとデータがあるので取ってきます。

サイトでは
python dqn.py
と入力すればコンピュータがゲームをしてくれると書いてありますが、実際にはデフォルトではゲームの学習を始めてしまいます。
学習はGPUがあるPCでも非常に時間がかかるので今回は省略します。



5. ソースを一部直す

dqn.pyのソースを以下のように変更し、学習結果をテストするモードにします。
学習結果をテストするくらいならばGPUが載っていない普通のPCでもできます。

変更前
LOAD_NETWORK = False
TRAIN = True


変更後
LOAD_NETWORK = True
TRAIN = False


6. コンピュータにゲームをさせる。

python dqn.py
と入力します。



やったーーーーーー。
きちんとゲーム画面が表示されて生意気にもゲームしてるじゃん。
長かったけどついに僕のWindowsマシンでコンピュータにゲームをさせることができました。
冒頭にも書きましたが、ゲームを学習したりプレーする部分のソースコードは367行しかありません。たったそれだけでゲームすることができちゃうんです。深層強化学習って面白いですね。




2016年9月7日水曜日

WindowsでLinuxのアプリを動かしてみた

Windows10をアップデートするとWindows Subsystem for Linuxという機能が使えるようになるらしいので、8月にリリースされたばかりのWindows10 Anniversary Updateを自分のパソコンにいれてみました。

Windows Subsystem for Linux とはどういう機能かというと、WindowsでLinuxの実行形式のファイルをそのまま実行できる機能です。

すごいですね、LinuxのアプリがそのままWindowsで実行できてしまうのです。
Linuxのgccとかpythonとかapt-getとかのバイナリーがそのままみんなWindowsで動くのです。

ということで、Windows Subsystem for Linuxを動かして、gccやxeyesをapt-getでいれて、本当に動くのか実験してみました。


おーすげー。本当に動く。

この機能は、Linuxで数値計算や深層学習をやっているデータサイエンティストや研究者にとっては大変便利な機能でLinuxしかサポートしていないさまざまなソフトをWindowsで動かすことができます。

これでWindowsでOpenAI GYMを動かして、「ゲームをするコンピュータ」を動かすことができる!
ということで次回はWindowsでOpenAI GYMを動かして「ゲームをするコンピュータ」が本当にゲームをするのか見てみたいと思います。

2016年9月6日火曜日

コンピュータをしゃべらせてみた。

忙しくてしばらく放置していましたが、しゃべるロボットを作ろうとしているおじさん。やっとしゃべる部分を作ることができたので、今日はロボットをどうやってしゃべらすかについて書きます。
音声認識の方はいろいろな書籍がそろっているのですが、音声合成の本ってあまり見かけません。不思議です。まぁいいや。

オープンソースのOpenJTalkというライブラリを使うとコンピュータに日本語をしゃべらすことができます。正確に言うとテキストファイルを音声に変えることができます。

http://open-jtalk.sourceforge.net/

しかし、使っておいて文句を言うのも何なんですが、このページとてもわかりずらい。
ドキュメントをよーくよむとどうやら以下のものが必要らしいです。

(1) Open?JTalk本体
open_jtalk-1.xx

(2) 解析用辞書ファイル
open_jtalk_dic-1.xx

(3) 音声合成エンジン
hts_engine_API-1.xx

(4) 音響モデルデータ
hts_voice_nitech_jp_atr503_m001-1.xx

(1)、(2)、(4)は上記のサイトから入手可能なようですが、(3)は以下の別サイトから取ってくるようです。

http://hts-engine.sourceforge.net/


この四つのファイルを全部取ってきて、ビルドします。
Windowsはサポート対象に含まれていないようなんですが、Windowsでも問題なくビルドできるようです。

ビルド方法も通常のLinuxビルドのようにConfigureをかけるほうもあるのですが、使う漢字コードとライブラリのバージョンの#defineを設定すればどのコンパイラでもビルドできるようです。

ぼくはソースを全部同じフォルダにぶち込んで、適当に#defineを設定してVisualStudio2015でビルドしました。

フォルダがたくさんあって大変なんですが、全部同じフォルダにぶち込んでコンパイルすれば意外と簡単にビルドできます。

input.txtに「こんにちは、ばーか」などと打ち込んで、以下のコマンドを実行すれば話すみたいです。

open_jtalk -m nitech_jp_atr503_m001.htsvoice -x dic -ow output.wav input.txt


喋る部分って意外と簡単。
ラズベリーパイなんかでも余裕で動きます。

これで「音声からテキスト」-->「いろいろ処理」--->「テキストから音声」ができるので、人がしゃべったことを理解して何かを処理して結果をしゃべるロボットを作ることができます。

最近なんでもオープンソースなので、オープンソースを使えたり自由に変更できたりするといろんなことができる気がします。オープンソースがどの程度自由に使えるか?これがソフトウェア技術者として重要な気がします。

音声処理飽きたので、次回は、OpenAI GYMで自動制御とかゲームをするコンピュータでも作ってみようかなぁ。

おじさん、大学時代に音声信号処理と自動制御の研究をしていたのですが、最近ロボットの自動制御に深層強化学習を利用していたりして、なんか勝手に10年以上前の技術が旬になっています。でもおじさんはなぜか仕事がありません。誰か雇ってくれないかなぁ。


2016年9月2日金曜日

グラスサウンドスピーカーを聞いてみた。

最近まで、ものすごい忙しくて全然ブログを更新できませんでした。
やっと遅めの夏休み。

機械学習とかの本はほとんど買い尽くして読んで、テレビゲームをやるAIや囲碁をするAIも作り方がわかったので、夏休みはハイレゾオーディオで遊びます。

オラソニックのCD-1とUA-1とソニーのグラスサウンドスピーカーLSPX-S1をつないで聞いてみました。

スピーカーはハイレゾ対応ではないんですが、ハイレゾまでの音は出るようです。
このグラスサウンドスピーカーは音を聞くとその解像度がかなり凄い。
本当にクリアに聞こえます。
シャカシャカしないというか圧迫されないというか疲れない音というかなんというかずっと聴きたくなるような音が出ます。
いろんな音源を聴いてみましたが、ジャズとか女性ボーカルが特に良いです。
スピーカーが1つだと音がモノラルなのでこれ確かにもう1ついるなあ。